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環境トピックス

その4

行政単位を超えて磯焼け対策を進める
三浦半島ブルーカーボン推進会議、発足。

 

本誌2号の「逗子・葉山」特集でも全面的で取り上げた磯焼けの問題が一歩前進した。当時の取材でも、アマモの植え付けやウニの駆除をおこなっていた多くのボランティアの人々が口にしていたのが、「地球温暖化による海水温の上昇が磯焼けの原因のひとつなので、一地域だけの対策だけではどうにもならない。海はつながっている」という焦燥感だった。逗子、葉山でそれぞれ活動していた地域ぐるみの磯焼け対策が三浦半島全域に広がったことは多いに評価したい。

 今回、三浦半島の4市1町(横須賀、鎌倉、逗子、三浦市、葉山町)が連携して磯焼け対策の一環として、相模湾側の海の藻場再生を図り、海藻などに吸収される二酸化炭素由来の炭素「ブルーカーボン」を増やす脱炭素の取り組みを推進させる「三浦半島ブルーカーボン推進会議」を発足させた。あわせて、開局70周年企画として「日本列島ブルーカーボンプロジェクト」番組を始めた日本テレビからよせられた企業版ふるさと納税2400万円も活用していくという。また、日本テレビは関連番組を制作する予定だ。

 逗子・葉山のみならず三浦半島周辺の相模湾では、海藻を食べるウニやアイゴが増加し、温暖化による海水温上昇で磯焼けが進んでいる。そのためにせっかく養殖したアマモやカジメなどがさらにウニやアイゴに食べ尽くされ、全滅する被害も報告されている。横須賀市の調査では、小田和湾周辺では2006年に約348ヘクタールあったアマモ場が2022年に2,1ヘクタールまで激減した。

 三浦半島ブルーカーボン推進会議発足を受けて、三浦半島の4市1町(横須賀、鎌倉、逗子、三浦市、葉山町)それぞれの取組みがあわせて発表された。横須賀市は、磯焼け対策としてウニ、アイゴの駆除、また、ウニ、アイゴなどから藻場を守るミニストーン工法による藻場の造成などが予定され、具体的には相模湾側長井にカジメ場の造成が行われる。あわせて海洋環境問題の啓発として、市民によるアマモの植え付けや観察、セミナーの開催などが予定される。鎌倉市は、磯焼け対策としてウニの駆除、砂浜に打ち上げられた海藻の利活用、母藻(胞子を排出させる状態の藻)を海に戻す活動に対する支援などで、海洋環境問題の啓発として、公立小中学校を対象とした海の環境に関する課題解決型学習をおこなうとしている。

 また、逗子市は漁業者や市民団体による磯焼け対策としてのウニの駆除、地元企業等による藻場の造成をあげていて、藻場を増やす事業者の取組みに対する補助をおこなうとしている。三浦市は磯焼け対策として、ウニ、アイゴの駆除と早熟カジメの試験的な育成と藻場の保全で、具体的には城ケ島におけるアマモ場の造成と諸磯におけるカジメ場の造成を予定している。そして、葉山町は磯焼け対策として、ウニの駆除、母藻の設置、アマモの種苗生産・移植等藻場の造成、海洋環境問題の啓発として、ブルーカーボンの啓発イベントの開催とブルーカーボン教材の作成などが取組みとして発表された。

ウニの駆除04_RGB.jpg

ボランティアの人たちによるウニの駆除の様子、逗子海岸 Photo courtesy: Kondo

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